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根府桃子インタビュー
アカデミー育ちが紡ぐ熱き思い
15根府桃子
ノジマステラ神奈川相模原の若きストライカー。果敢にゴールを狙うプレーには、日々の努力と未来への熱い思いが詰まっている。アカデミーで基礎を磨き、なでしこリーグを経て、現在はWEリーグの舞台でさらなる挑戦を継続。根府桃子が、これまでの歩みと、これからの目標を語った。
「男子よりも体格が良く、無双状態だった」

2004年生まれ、東京都町田市出身の根府がサッカーと出会ったのは小学2年生のとき。兄が所属していたFC芹ヶ谷東京に加入したのがきっかけだ。
「兄の練習や試合を見に行くうちに自然とボールを蹴るようになり、気づけば兄と同じチームでプレーしていました。チームのエンブレムにはザリガニが描かれていて、町田の芹ヶ谷公園でザリガニ釣りをして遊んでいた記憶があります」
男子に混じってのびのびとサッカーを楽しみ、小学6年生ではJFA 全日本U-12サッカー選手権大会の東京都大会に出場した。
「小学生の頃は男子よりも体格が良く、無双状態でした(笑)。でも、成長するにつれて男子のほうがパワーやスピードでどんどん上回るようになっていきました」
小学6年生のとき、ノジマステラ神奈川相模原アヴェニーレ(U-15)のセレクションに挑戦。他のチームにも合格していたが、ステラの充実した環境に魅力を感じ加入を決めた。
「セレクションではゴールを決めることができ、自分でも手応えを感じていました。当時の長谷川歩監督(現セレッソ大阪ヤンマーレディースコーチ)から内定の電話をもらったときのことは今でも覚えています。ステラにはクラブハウスやトレーニングルームがあり、練習後すぐに筋トレができる環境が整っていました。自分のパフォーマンスを伸ばすには最高の場所だと思い、ステラを選びました」
「結果を残すことを強く意識していた」

2017年、中学進学と同時に根府はアヴェニーレに加入。この年、ステラのトップチームがなでしこリーグ2部から1部に昇格し、クラブ全体が新たな挑戦のステージに立っていた。中学3年生のとき、根府はU-16日本女子代表に選ばれ、AFC U-16女子選手権タイで優勝を経験する。
「試合を重ねるごとにチームがまとまって強くなっていく感覚がありました。私を含め、多くの選手が胃腸炎にかかる中での優勝だったので、大きな自信になりました。海外選手との対戦は刺激的で、その経験が今の自分につながっています」
アヴェニーレ時代、根府はJFA全日本U-15女子サッカー選手権大会に出場したが、タイトルには届かなかった。一方で、ドゥーエ(U-18)やトップチームの練習に参加し、貴重な経験を積んだ。トップチームの試合日には試合運営を手伝い、設営やボールパーソン、片付けなども担ったという。
「人工芝を巻いて運ぶ作業は本当に大変でした。負けた試合後は特にしんどかったですが、トップの選手から『ありがとう』と言われると、やってよかったなと思えました」
高校時代はドゥーエに所属。1年目は捻挫に悩まされ満足にプレーできなかったが、田邊友恵監督(現サンフレッチェ広島レジーナ ユース監督)の指導で意識が大きく変わった。
「やるべきことが明確になり、攻撃だけでなく守備の重要性も学びました。守備から攻撃が始まると知り、プレーの幅が広がりました」
高校2年生のとき、一学年上の西郡茉優がトップチームに昇格し、大きな刺激を受けた。高校3年生ではキャプテンとしてJFA 全日本U-18 女子サッカー選手権大会の決勝に進出。日テレ・東京ヴェルディメニーナとの一戦はPK戦で敗れたが、この経験は大きな財産となった。
2022年12月、トップチーム昇格とともに、なでしこリーグ1部の大和シルフィードへの期限付き移籍が発表された。「期限付き移籍でしたが、ステラに戻れるかは分からなかったので、結果を残すことを強く意識していました」と当時の心境を語る。新たな環境で、自らを奮い立たせた。
「お互いに頑張ろうと励まし合いながら歩んできた」
2023年、根府は大和で新たな挑戦に踏み出した。慣れ親しんだステラを離れることになったが、大きな不安はなかったという。大和で過ごした1年は、彼女にとって大きな成長をもたらす貴重な時間となった。
「2つ上の中山未咲さん(元ノジマステラ神奈川相模原、現サバFA)がいたことは心強かったです。いろんなポジションを経験し、試合にも出させてもらいました。特にチームの中心としてプレーする機会があったので、『自分がやるんだ』という強い気持ちで取り組むようになりました」
同時に、国際舞台でも貴重な経験を積んだ。同年5月にはU-19日本女子代表に選ばれ、フランスで行われたSUD Ladies Cupに出場。「U-19では私たちが一番上の世代だったので、下の年代の選手たちには負けられないという気持ちで臨みました」と代表での活動を振り返る。
一方で、大和に在籍していたときは、ステラ時代の仲間とのつながりも大切にしていたという。「(笹井)一愛は中学時代からの同期で、共に高め合える存在です。お互いに頑張ろうと励まし合いながら、これまで歩んできました」と思い出を語る。
そして2024年、根府はステラへの復帰を果たした。「ステラに戻れるかどうか分からない不安がありましたが、復帰が決まったときは、ほっとしました。見ていてくれた人たちがいたことに感謝しています」と素直な気持ちを明かした。
「相手ゴールを脅かす存在になりたい」

2024年2月、根府はステラに復帰。3月のWEリーグ第8節日テレ・東京ベレーザ戦でトップチームデビューを果たした。「トップチームの選手としてギオンスタジアムのピッチに立つことができて、すごくうれしかったです」と喜びを語る。
5月の第21節ちふれASエルフェン埼玉戦ではホームで勝利を収め、試合後にはメガホンを手にステラのアンセムを披露した。「南野亜里沙選手に『行きなよ』と言われて歌いました。中学時代にサポーターの皆さんと一緒に歌って覚えた曲で、一体感をあらためて感じました」と笑顔を浮かべた。
最終節のAC長野パルセイロ・レディース戦ではプロ初ゴールを記録。「アディショナルタイムで、絶対に点を取るという気持ちでボールに食らいつき、最後は気持ちで押し込みました」と決勝点の記憶をたどった。
2024-25シーズン前半戦は、計5試合の公式戦に出場した。「昨シーズン後半からコンディションが上がり、プレーに落ち着きが出てきて、『自分にもできる』と思える場面が増えてきました」と手応えを口にする。
オフの日は外に出かけることが多い。スマホには「行きたいところリスト」をまとめているという。「温泉旅行に行きたいですし、日本一大きいUFOキャッチャーがある施設にも行ってみたいです。海外に行くならトルコで気球に乗るのが夢です」と明るく話す。
2024-25シーズンのWEリーグは3月に再開する。ステラではFWとして得点力が求められ、根府への期待が高まる。スクールコーチも務める彼女は、子どもたちと向き合いながらサッカーの楽しさを伝える時間も大切にしている。
「相手ゴールを脅かす存在になりたいです。自分の特徴を生かし、相手DFにどう立ち向かうかを日々考えています。もっと試合に出て、サポーターの皆さんはもちろん、スクールの子どもたちやアカデミーの選手たちにも、気持ちを込めて戦う姿を見てもらえるよう頑張ります」
プロフィール
根府 桃子
NEBU Momoko
2004年5月28日生まれ、東京都町田市出身
FC芹が谷東京 - ノジマステラ神奈川相模原アヴェニーレ - ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ - 大和シルフィード - ノジマステラ神奈川相模原(2024シーズン~)
(文=大西徹・株式会社アトランテ)