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川島はるなインタビュー
キャプテンがつかんだ手応え
17川島 はるな
小学生時代は家族とサッカー漬けの日々を送り、中学から親元を離れて新たな環境で自分を磨いた。ベガルタ仙台レディース(現マイナビ仙台レディース)、ノジマステラ神奈川相模原、サンフレッチェ広島レジーナで経験を重ね、昨年6月にステラへの復帰を果たす。今シーズン、チームのキャプテンを務める川島はるなが、これまでの歩みを振り返り、現在の心境を語った。
「ホームシックには一度もならなかった」

川島がサッカーを始めたのは、小学校3年生の終わり頃。高校までプレー経験があり、小学校のコーチを務めていた父親の影響で、静岡県藤枝市の高洲スポーツ少年団に加入した。男子中心の環境の中、兄や弟と共にサッカーに打ち込む日々が始まる。
「父に『練習をしないと力はつかない』と言われて育てられました。朝練をして、学校の後も夜まで、1日6時間はサッカー漬けでした。やりたくないときもありましたが、兄弟と一緒だったおかげで支え合いながら続けられたと思います」
小学校卒業後、川島は親元を離れ、JFAアカデミー福島に入校する。新たな環境での挑戦に、家族は不安を抱いていたが、川島は期待で胸を膨らませていた。
「ホームシックには一度もならなかったです。それまで男子ばかりの環境だったので、女子と一緒にサッカーをするのが新鮮で楽しかったです」
JFAアカデミー福島では、個人の技術だけでなく、チーム戦術やコミュニケーションの重要性を徹底的に学んだ。競争の激しい環境に身を置きながら、6年にわたって自らを磨いていった。
「チームとしての動きを学ぶことで、自分の成長につながりました。アカデミー生は今でも特別な存在で、再会すると家族のように感じます」
高校時代には、スペインでの練習参加という貴重な機会も得た。2年生ではエスパニョール、3年生ではバルセロナの練習に参加し、海外の高いレベルを肌で感じた。
「エスパニョールでは入れるかどうかという話もありましたが、高校生の自分にはまだ早いと思い一度見送りました。翌年、バルセロナの練習にも参加しましたが、最終的に加入はできませんでした」
2012年2月、東日本大震災の影響で休部していた東京電力女子サッカー部マリーゼを前身とするベガルタ仙台レディースが発足。川島は同年7月、チャレンジリーグからなでしこリーグ昇格を目指す仙台に加入した。
「最後まで受け入れ体制を整えてくれていたのがベガルタで、練習試合で対戦したことがあり、知っている選手も多いチームでした。フィジカルや戦術を1から学び、厳しい指摘もすべて吸収しようと必死でした。あの2年半があったからこそ、今の自分の土台を築けたと思います」
「スタミナとハードワークを生かせるシーンが増えている」

2015年1月、川島はステラに加入。6年間にわたるステラでの生活は、彼女のサッカー人生において大きな飛躍を遂げるきっかけとなった。当時を振り返り、川島はこう語る。
「最初は走る練習が多くて驚きました(笑)。でも、不思議と練習時間が長いと感じることはあまりなかったです。ベガルタとはサッカーのスタイルが全然違っていて、毎日が新鮮でしたし、自分が知らないたくさんのことを学びました」
川島にとって、チームメートである南野亜里沙の存在も大きな刺激になった。2歳年上の南野とは、お互いに熱い思いを持ってプレーする中で、時には意見をぶつけ合うこともあったという。
「もちろん仲はいいんですが、昔はピッチで言い合いになることもよくありました。今でもお互いに意見交換をしながら、いい関係を築けています。二人とも大人になったなと感じます(笑)」
6年間のステラでの経験を経て、川島は2021年1月、広島に移籍。創設間もないチームに加わり、地域全体の熱い応援と、ベテラン選手たちが見せるリーダーシップを間近で感じた。
「広島での時間は本当に濃かったです。地域全体がクラブを応援していて、スポーツに熱い雰囲気が伝わってきました。ベテランの選手が緩んだ空気を引き締めたり、イベントを企画してチームを一つにまとめたりする姿が印象に残っています」
広島で過ごした3年間を経て、2023年6月に川島はステラに復帰した。現在は小笠原唯志監督のもと、守備だけでなく積極的な攻撃参加も意識したプレーを続けている。
「自由度が増えたことで、前に関わる動きや裏に抜けるプレーが増えました。攻撃参加の幅が広がり、スタミナとハードワークを生かせるシーンが増えたと感じています。浦和戦(2024年11月3日 1-1)のゴールは、それまでトレーニングで意識してきた形そのままでした。パスの精度も高く、チーム全体の成長を実感しています。もっとあのような場面を増やしていきたいです」
「ポポは元気すぎていつも大変」

川島は日々のチーム練習に加え、パーソナルトレーニングを取り入れ、体のケアにも力を入れている。中でもピラティスは、体の動きを高めるために大事にしている習慣だ。
「ピラティスで骨盤のずれを整えると、次の日の練習で体の動きが良くなるのを感じます。歪みを正すことで、キックやシュートのインパクトが向上して、一歩目の速さも変わりました」
試合後には必ず映像を見返し、自身のプレーを振り返る。技術面の向上だけでなく、メンタル面でのリセットにも役立っているという。
「その日のうちに映像をフルで見て、気になる場面は画像を保存して、後でスタッフやチームメートと共有しています。頭の中を整理して、気持ちを切り替えています」
次の試合に向けて心を整える上で、愛犬ポポとの時間は何よりも大切な癒しとなっている。日常の中でポポと過ごすひとときは、リフレッシュに欠かせない大事な時間だ。
「帰宅すると、ポポが全力でおなかを見せて甘えてきます(笑)。休日に散歩やカフェに連れて行くと、元気すぎていつも大変です。でも、寝顔を見ると本当に幸せな気持ちになりますね」
WEリーグやWEリーグカップを戦う中で、川島は自身のプレーとチーム全体の課題に真摯に向き合ってきた。守備と攻撃の両面でさらなる修正が必要だと感じているという。
「守備では細かい部分の課題を改善して後半戦に臨みたいです。攻撃では、背後への抜け出しを増やし、ボールを失う回数を減らし、プレーの幅をさらに広げていきたいと思っています」
今シーズン、小笠原監督は試合ごとにゲームキャプテンを変える方針を継続。その中で、経験豊富な川島はチームキャプテンとして選手たちを支える重要な役割を担う。
「ゲームキャプテンがしっかり試合に臨めるよう、自分はそのサポートも心掛けています。特に苦しい場面では、自分がチームの原動力となって引っ張ることを常に意識していきたいです」
今シーズン前半戦の勝利数はWEリーグで1勝、WEリーグカップで3勝。シーズン後半戦はさらなる飛躍を目指す。
「WEリーグカップでは、たくさんの方に応援していただきましたが、結果的には残念な形になってしまいました。それでも、試合ごとに声援が大きくなっているのを実感しています。その応援に応えるためにも、ホームで勝利を届け、もっと喜んでもらえるよう全力を尽くします」

プロフィール
川島 はるな
KAWASHIMA Haruna
1993年4月12日生まれ、静岡県藤枝市出身
高洲サッカースポーツ少年団 - 藤枝FC - JFAアカデミー福島 - ベガルタ仙台レディース - ノジマステラ神奈川相模原(2015~2020シーズン) - サンフレッチェ広島レジーナ - ノジマステラ神奈川相模原(2023-24シーズン~)
(文=大西徹・株式会社アトランテ)