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浜田芽来インタビュー
サイドバックとして描く未来
11浜田芽来
幼なじみの一言から始まったサッカー人生。中学で技術を磨き、高校では全国優勝の歓喜を経験し、大学でも確かな歩みを進めてプロの舞台へ。ノジマステラ神奈川相模原で3シーズン目を迎えた浜田芽来が、サイドバックとして挑む新たなステージとこれまでの軌跡を振り返る。
「全国優勝なんて夢にも思っていなかった」

浜田がサッカーを始めたのは小学校4年生。幼なじみの「やってみない?」という誘いがきっかけだった。それまではバレーボールが好きで、父と女子日本代表の試合を観戦しに行くほどだったが、サッカーの体験会に参加したことで、その魅力に惹かれた。
東京都文京区で活動するソレイユFCに加入するも、最初は男の子たちとの体格差に苦労した。
「背が低くて細かったので、吹っ飛ばされることが多かったです(笑)。でも足が速かったので、上の学年の試合にも呼ばれるようになりました」
小学校で一番足が速かった浜田は、女子チームの北区さくらガールズにも所属。本格的にサッカーを続けたいという思いが強まり、小学校6年生の夏にはサッカーの強豪校・十文字中学を目指し受験勉強を始め、合格を果たした。
「もともと受験するつもりは全くなかったのですが、強いチームに行ってサッカーがしたくなり、夏休みぐらいから駆け込みで勉強しました」
十文字中学では、約80人が所属するサッカー部で競争にもまれながら技術を磨いた。中学3年生で出場した全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会ではベスト4に進出。全国大会のレベルの高さを実感しつつも、自信を得る貴重な場となった。
その後、進学した十文字高校ではさらなる飛躍を遂げる。1年生のときに、全日本高等学校女子サッカー選手権大会で優勝を果たした。
「全国優勝なんて夢にも思っていなかったのでびっくりしました。先輩たちの力が本当に大きかったです」
高校3年生では同大会で3位に入賞。「自分たちが中心となって全国大会に出ることができて、いい思い出になりました」と浜田は振り返る。
「今しかできないことをやろうと思った」

高校卒業後、浜田は山梨学院大学への進学を決意。そのきっかけは、同校との練習試合だった。中学時代に関東トレセンで指導を受けた田代久美子監督(現三菱重工浦和レッズレディースコーチ、ユース監督)の存在が背中を押した。
「高校の練習がきつかったので、卒業後はどうしようかなと考えていました。でも田代さんが自分のことを覚えてくれていて、また頑張りたいと思いました。あと、山梨ではフルーツがたくさん食べられるのも魅力的でした(笑)」
大学1年生で関東大学女子サッカーリーグ2部の得点王に輝き、着実に結果を残していく。大学4年時にはステラからプロ契約のオファーを受けたが、その決断には葛藤が伴った。
実は、2022年9月にステラへの加入内定が発表される前に、浜田は就職活動を行い、不動産関連の企業から内定を得ていた。営業職として働く道を選び、内定も承諾していた中でのオファーだった。菅野将晃監督(当時)は何度も山梨に足を運び、彼女の練習を視察していた。
「サッカーは辞めようと思っていたので、本当に迷いました。でも菅野さんをはじめ、監督やチームメートから『続けなよ』と言ってもらい、今しかできないことをやろうと思いました。父は試合観戦が趣味でいろんな場所に来てくれていたので、その期待に応えたいという気持ちも強くなりました」
大学最終年には関東大学女子サッカーリーグ1部で得点王に輝いた。2023年1月の全日本大学女子サッカー選手権大会では決勝まで勝ち進み、惜しくも敗れたが準優勝という結果を収めた。
「早稲田や日体のような格上だと思っていたチームにも勝てるようになり、山梨学院大学に入って本当に良かったです」
「できないことが多いからこそ伸びしろだと思えた」

2023年2月、浜田はステラに加入。新天地での生活が始まったものの、同時期に加わる選手が他にいなかったため、少なからず戸惑いを感じた。
「馴染むまでに1年くらいかかりました。もともと人見知りなうえ、年上の選手が多かったので、最初は緊張して怖いなと思っていました。でも、その半年後に新しく入った選手たちが賑やかだったおかげで、少しずつ馴染めるようになりました。そのうちに、もともといた選手も全然怖くないんだなって気づきました(笑)」
2023年3月5日、WEリーグ第9節ジェフ千葉レディース戦でプロデビューを果たし、初ゴールも記録。その後、試合を重ねる中でプロとしての厳しさと成長の実感を得た。
「周りの人に活躍している姿を見せたいという思いが強かったです。ただ、大学とのレベルの違いには驚きました。相手は速くて強く、全然抜くことができなくて、自分だけでは何もできないと感じました。それから周りの選手に自分を使ってもらうことを意識するようになりました」
そして今シーズン、大きな転機が訪れる。FWからサイドバックへのコンバートだ。
「キャンプで自分がサイドバックに配置されているボードを見たとき、『間違いだよね?』と思いました。でも間違いではなく、本当にサイドバックでした。守備も攻撃もこなさないといけないポジションなので、『絶対に無理』と思いました」
不慣れなポジションに戸惑いながらも、試合や練習を通じて新たな挑戦のやりがいを発見していった。
「景色が全然違うし、最初は迷子みたいになっていました。でも、できないことが多いからこそ伸びしろだと思えました。ビルドアップの関わり方が少しずつ分かるようになり、楽しいところも見つかりました」
「ゴールを狙いたい気持ちが強かった」

2024年9月1日、WEリーグカップ第1節アルビレックス新潟レディース戦で右サイドバックとしてスタメン出場。その後も経験を積み重ねながら、サイドバックとしての役割を確立していった。
10月26日、WEリーグカップ第5節マイナビ仙台レディース戦では、後半開始直後に放ったシュートが決勝ゴールとなった。
「全体練習の後、シュートの自主練もしていました。あのシーンでは、クロスを上げることは全く考えずに、振り抜くことだけを意識しました」
試合や練習に追われる日々の中、オフの日の過ごし方について聞くと、浜田は笑顔を浮かべた。
「オフの日はあまり家にはいません。自然に囲まれたカフェが好きで、最近は山梨のほったらかし温泉の上にある、景色が一望できるカフェに行きました。都会のカフェもいいですが、きれいな空気の中でゆっくり過ごすのも好きです」
浜田は、守備と攻撃の両面でさらなる成長を目指す。具体的な課題に向き合いながら、自身のプレーに磨きをかけ、明るい未来を切り開くために挑戦を続けている。
「守備ではゴール前で体を張ることや、一対一で絶対に負けないことを意識しています。ただ、まだ失点が多く、そこは課題だと感じています。周りとの連携をさらに深めて、しっかり守りきりたいです。攻撃でも積極的に関わって、アシストだけでなく、自分でもゴールを決められるサイドバックを目指しています。自分らしいサイドバック像を確立させたいです。そして、スタジアムまで応援に来てくれる皆さんや、いつも支えてくれる家族や友達に、もっと勝利を届けたいです」
プロフィール
浜田 芽来
HAMADA Megu
2000年12月27日生まれ、東京都文京区出身
ソレイユFC - 北区さくらガールズ - 十文字中 - 十文字高 - 山梨学院大 - ノジマステラ神奈川相模原(2022-23シーズン~)
(文=大西徹・株式会社アトランテ)